魅力的な塗りにするための3要素とは?



以前の記事
「絵のクオリティをバランス良く高めるコツと、その落とし穴」
から続いている

美しく描き込まれたイラストを制作するためのポイントを
唯さんのメイキングから解説するこのシリーズですが


前回の記事「ラフよりも豊かに見える線画を描く」では

下書き〜ペン入れの工程で
どんなことを意識すればいいか解説しました。


今回はいよいよお絵描きの醍醐味といえる
彩色の工程を解説していきます。


お絵描きがなかなか上達しないという人は
この彩色で悩んでいる人が大半ですが

魅力的な絵にするためには
一体どんなことを意識すればいいのでしょうか?


それでは解説していこうと思います。




塗り(前編&後編)-Photoshopメイキング
まずは作業の効率を向上させるために、自動選択ツールを用いて
背景とキャラを分離させ、異なる部分をグレースケールで塗りつぶします。 ...








彩色に魅力を出すための3要素



彩色は絵に質感を与え、説得力を飛躍的に高める
いわば絵の良し悪しを決めるかなり重要な工程です。


どんなに素晴らしい線画を描けたとしても
彩色が悪ければ全てが台無しになってしまいます。


線画だけが好きでその人の絵を好きなるという人は
ほとんどいません。


逆に、どんなに線画が拙くても
彩色次第で豪華に魅せたり迫力を出したり
自由自在に雰囲気を付加することができます。



だから、その人の絵が好きだという人は
大抵その塗りにも魅力を感じています。


そのため、美少女ゲームメーカーは
こぞって彩色という役職を募集して
日々そのゲームメーカー独自の魅力的な塗りを追求しています。


つまり、自分なりの塗りを追求していくことで
あなたの絵だけでなく、あなた自身の、
絵師としての大きな魅力の一つにすることができます。



それでは、どうすれば見る人が魅力的に感じるような
彩色ができるのでしょうか?


一つの有効な方法としては、
魅力的な彩色であるための3要素を満たすことです。



説得力があること

バランスがとれていること

メリハリがあること



これらを同時に満たすことで
どんな絵でも見る人に好印象を与えることができます。


これが具体的には一体どういうことなのか


唯さんのメイキング工程を見ながら
考えていきましょう。



まずはグレーで塗って立体感を意識




背景と人物をレイヤー分けした上でまずはグレースケールで
各パーツを塗っていきます。

このとき距離感の異なる部分をグレースケールの濃さで分けましょう


唯さんは、最前景を黒として、メインがグレー、少し後ろを濃いグレー、
奥の背景を薄いグレーと白で塗ることで見事に空間が表現されています。


少し手間に感じるかもしれませんが
グレーで塗ったレイヤーを作っておくことで
空間をイメージしやすくなります。


より立体感や迫力のある塗りをすることができますので
多少面倒でも作成しておくのがよいでしょう。


00_201703131203142b8.jpg



丁寧に単色で塗る



次に自動選択ツールなどを使い
目、肌、服など必要に応じてレイヤーを分け
レイヤーごとに下地の色を塗っていきます。

(下記画像をクリックして拡大すると唯さんのレイヤー構成を
少し見ることができますので参考にしてみて下さい。

04_201703131322527b9.png



はみ出しや塗り忘れがあると
今後の修正に時間や集中力をとられてしまうので

できるだけ塗り忘れや曖昧な部分が無いように
しっかりと塗っておくことも大切です。


また、線画や背景色に近い色で塗ってしまうと
はみ出しに気付きづらいため

そういう色は一度分かりやすい色で塗ってから
彩度・明度・色相を調整してみたり

背景レイヤーの色を一時的に白以外に変えてみると
ミスが少なくなります。


03_20170313120619668.jpg


塗りはキャラと背景を同時進行で




塗りは全体のバランスをとることも重要です。


キャラと背景の進度に差が開きすぎると
どうしてもクオリティにばらつきが出てくるので

全体のバランスが悪くなりやすく
雑な印象を与えてしまいます。


背景ばかりが目立ってキャラが埋もれてしまったり

キャラがしっかり描き込まれているのに
背景があっさりしすぎないように

描き込みの同期をとって、
定期的にバランスを確認していくと良いでしょう。


唯さんは、描き込みの同期をとるために

キャラ>背景>キャラ>後付け

という順番で彩色を行っているそうです。

(「後付け」というのは詳しく説明されていませんが
キャラと背景の仕上げのことだと思われます。)



まずはキャラの彩色ですが

背景レイヤーを消して
アニメ塗り(境界をぼかさない塗り)で
キャラの立体感を表現します。


05_201703131521387fa.jpg


次に背景を塗ります。

細かい部分には執着せず
あまり描き込み過ぎないようにすることで

キャラと背景の進度を合わせます。


06_20170313163943600.jpg


一通り塗れたら、キャラと背景のバランスがとれているか
確認しておきましょう。





「視覚中心」を意識して仕上げていく




ここからは、下書きの段階で確認しておいた
視覚中心を使って仕上げていきます。


人間の視線は顔を中心に、コントラストの高い部分から
順番に視線を移動させていきます。


つまり、この部分を中心に描き込んでいくことで
効果的に見る人に魅力を伝えることができます。


07_20170313164408170.jpg





アニメ塗りで塗った部分をぼかしていく





「仕上がりのキーポイントは
【偽り】な絵を【真実】な物にする事」

と唯さんは説明していますが
つまりこれは、できるだけリアルに近づけることで
絵に説得力を出すということです。


キャラの肌や服、物体の質感は
ほぼ陰影によって決まると言っても過言ではありません。

この陰影を上手に表現できるかが
絵の説得力を大きく左右するのです。


それにはまず、境界のはっきりしたアニメのような箇所に
グラデーションを持たせていくことが大事です。


普通は中間色の柔らかいブラシでぼかしていきますが
混合ブラシツールやぼかしツールを使うとより簡単に表現できます。


立体感の出し方ですが、
基本的な陰影の構成は下記になります。


【1】ハイエストライト
【2】ハイライト
【3】影
【4】照り返し(反射光)
【5】影

08_20170313164710e36.jpg09_20170313164720dc3.jpg


上の画像がとてもわかりやすいので、
こちらを参考に立体感を意識して陰影を表現していきましょう。


唯さんにとっての色塗りとは、
この五つの部分を1つずつ繰り返し描いていくことで
キャラの各部位のリアル感を表現させていく過程なのだそうです。


以上をキャラと背景に対して交互に行うと
最終的に下記のようにバランスの取れた描き込みになります。


10_20170313235838f93.jpg


まとめ




今回ご紹介したポイントは次の通りです。


・最初にグレーで塗り分け、遠近感、空間を意識する
・キャラと背景の進度を合わせる
・視覚中心を意識して塗り込んでいく


空間を意識できれば
絵全体に説得力が生まれます。


キャラと背景の進度を合わせることで
絵全体のバランスがとれます。


視覚中心を意識して描き込む箇所を決定すれば
絵全体にメリハリが出ます。



つまり、今回学んだポイントを意識することで
魅力的に感じるの3要素

説得力、バランス、メリハリ

の全てを満たすことができるのです。


意識せずに描いた絵に比べて
これだけの違いが出るということです。


簡単に思えるかもしれませんが
彩色している時ほど目の前の作業に集中しているため

空間の説得力や全体のバランスや
描き込みの優先順位などに気を配るのを
ついつい忘れてしまいがちです。


たかが意識と言う人もいますが
描いている時にこういったことをどれだけ意識できるかが
結果的に圧倒的なクオリティの差を生みます。


むしろ、こういった意識無しに素晴らしい作品を
生み出している人はいません。


だからこそ、彩色を始める前に
この特に効果的な3つを意識しているだけで

していない人と比べて大きな差が生まれるのです。


うまく彩色できずに悩んでいる人は
彩色作業を始める前にまずは一呼吸置いて

何を意識すべきか思い返してみると
いい結果が現れるかもしれませんよ。



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