ラフよりも豊かに見える線画を描く



前回の記事
「絵のクオリティをバランス良く高めるコツと、
その落とし穴」
では、

後からの手直しを最小限に押さえて
モチベーションを保ちつつ描き込んでいく方法
について解説しました。


前回は具体的な描き込みについてはあまり触れず
考え方についてがメインでしたので

今回から何回かに分けて、描き込む際のポイントを
各工程ごとに解説していこうと思います。



構図の説得力を底上げするラフの見直し方とは?

線画の工程で力を入れるべきこととは?

ラフよりも豊かに見える線画とはどういうものなのか?



今回は、ラフとペン入れの工程について
描き込む際の具体的なポイントを、
唯さんの講座を元に解説していきます。



ラフの作成からペン入れまで-Photoshopメイキング
はじめに制作画面を紹介します。
いつもA4 400DPIの画面で制作しているので、
今回も同じ設定にします。 ...








イメージから構図を決定、ラフを描く


まず、どういうイメージにするかを
決める所から始まります。


コンセプトの設定

最初に唯さんは

「ネコミミ娘+SF+異世界」

「強気で鋭いキャラ」

をコンセプトに選びました。


構図の決定

次に構図です。

「キャラの気勢を表現できる」

「通常の視点では見えないものが見える」

という2点を考慮して

今回はローアングルの構図に決定しました。


ラフを描きながら画面の雰囲気を把握

基本的に、ラフ絵は大雑把でも
画面の雰囲気を把握できるかどうかが重要です。

画面の雰囲気を把握し、描きながら
頭に浮かんだイメージをより明確にしていきます。



唯さんは、まずラフ絵を完成させ、
頭の中で画面を分析しつつ、
そこから描きたい目標を明確にするそうです。




ラフの見直し


次に、描いたラフを元に
三つのアプローチで画面の分析をしています。


1.強調したい箇所を意識する

強調したい箇所をピックアップすることで意識を高め
意図的に優先度の高いポジションに置いていけるようにします。





唯さんは今回、体の曲線を強調した衣装デザインを採用したので、
そのラインを十分に意識できるように
重要になってくる体のラインを赤でピックアップしています。



2.どの順番で見るのかを意識する

見る人がその絵のどこに注目するのかを意識します。
これによって、力を入れるポイントを絞ることができます。





3.説得力を意識する

パース線を引くことで、そこはどんな空間なのか
メインのキャラはどの位置にいるのかを具体的にしています。


パースは、きっちりに直線で引く必要はなく

実際のパースからどの程度歪ませているか
周りもそれに合せているかを確認することが大切です。


パースを意識すると、歪んでいても統一感が出せるため
全体の構図の説得力につながります。





ここでは、構図にパースを黄色の線で

キャラクターがその空間のどの位置にいるかを
赤の線で引いて確認しています。

(赤の線縦は頭から足までの位置、
赤の横線はおそらく両手の位置を表しています。)




以上のように、描いたラフを
様々な視点から見直すことが大切です。

ここできっちり、強調したい箇所と
どんな空間なのかをしっかりと決めましょう。


この試行錯誤によって、絵に統一感が生まれ、
テーマや説得力がはっきりするのです。



ペン入れ


ラフが描けたら、次にペン入れをしていきます。

ペン入れが始まると、
それ以降はあまり空間の説得力については
意識しづらくなってしまいます。


後からの大規模な手直しを防ぐために
最後にもう一度しっかりとラフを見直して、

どこかおかしな部位が無いか確認しておきましょう。



ペン入れ中も、気を抜かないことが大切です。

ラフではざっとしか描いていなかった箇所

服装や装飾品の細かな部分を
詳細に描くことを心掛けて下さい。


こうすることで、新鮮な気持ちでペン入れができ

詳細を意識しながらペン入れをすると
完成時にラフ絵よりも豊かな感じにできるそうです。


ここで唯さんの線画を、
ラフ付きの初期段階のものと比較してみて下さい。

(クリックにて別タブで開き、切り替えて比較することで
どこを描き込んでいるかがわかりやすいです。)






確かに、線画のみの方が豊かに見えますよね?

これって、なにげにすごいことです。



ラフには迷い線など、いらない線が多く
見かけ上の情報量が多いため

一般的にはラフの方が
違和感無く見えるのが普通です。


これは、ペン入れをしてラフを消すと、
誤魔化されていた違和感がはっきりと出るためで

あまり意識せずに絵を描いていると
ラフの方が安定しているように感じてしまうのです。


お絵描き講座などでもちらほら

「線画を描き上げた時点での違和感は
どうしようもないので諦めましょう」

「まずは目のハイライトを先に塗ったり
とりあえず彩色に進むことで最終的に判断しましょう」

といった意見をたびたび目にします。



しかし、唯さんは、ラフの時点で何度も見直し
色んな切り口から構図の説得力を上げることに尽力したため、
線画だけになっても説得力が保たれています。


また、線画を描く際に、細部の微調整や
装飾品の描き込みなどを意識して行うことで
線画自体の情報料が増えていき

説得力のある情報のみに絞られるので
かえってラフより豊かに感じられるようになっているのです。


線画の時点でここまで徹底していれば
きっとモチベーションの高い状態で彩色に臨めるでしょうし


この頑張りをできるだけ無駄にはしたくないと
作業のこだわりも変わってくるはずです。


そう考えると、最初から線画の違和感を仕方ないと
諦めてしまうのは、とても勿体ないですよね?


線画だけの状態で、
少なくとも自分の目で納得いくまでしっかり意識し、
詳細に描き込んでいくことは

最終的なクオリティを大きく左右します。


線画では、ただラフをなぞるだけでなく
ラフ以上の情報量が出せるように努めましょう。

デジタルであれば、一度ラフのレイヤーを消して
出てきた違和感を徹底的に修正するなども有効です。



まとめ



以上のポイントをまとめると、

ラフ

・見せたい箇所がどこなのか意識して
 テーマをはっきりさせる

・空間をしっかり認識し、説得力を出す


ペン入れ

・装飾品など、設定を考えながら細部までデザインし、
 しっかり描き込む

・線画の違和感を丁寧に直していく


となります。


今回、ラフの工程は、見直しが中心でしたが

イメージを固め、ラフを書き出すまでの工程については
以前ご紹介した記事

完成までイメージを保ち続けられる方法とは?

「伝わる」絵を描くための詳細な下書きとは?

に詳しくまとめていますので
気になる方はこちらも参照してみて下さい。


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