絵のクオリティをバランス良く高めるコツと、その落とし穴



あまりにも良く描き込まれている絵を見ると
どうしてあんなに描き込めるんだろうと
不思議に感じることってありませんか?


単純に描けそうな箇所を
どんどん描き加えていくだけのように
思えるかもしれませんが

実際にやってみると、
意外とそう簡単にはいかないものです。


描き込んだ箇所が際立ち過ぎてしまったり

全体を合わせて描き込もうとすると
集中力が保てなかったり


バランスと集中力との兼ね合いって
なかなか苦労しますよね?



今回は、完成後の手直しを最小限に抑えて
絵のクオリティをバランス良く描き込んでいく方法と、

そのことで陥りやすい意外な落とし穴について
唯さんの講座を参考にまとめてみましたのでご紹介します。



唯さんの講座
「Photoshop CS6 メインキング」
モチベーションを保ちながら
全体をバランス良く描き込んでいくための
ヒントがありました。



【606】唯-お絵描きIRADUKAI
皆さんこんにちは。唯と申します。 このたび、
フォトショップのイラスト制作講座をやらせていただくことになりました。
いつも通りのメイキング方法で絵を完成させていこうと思っていたのですが ...



(以下詳細まとめ




まずはこちらの完成品を見て下さい。



ぱっと見ただけでも、情報料の多さが分かりますね。


全体的に良く描き込まれている絵は、
自然と高級感が出て、美しい仕上がりになります。


しかし普通、何も意識せずに描き込もうとしても、
どこから手をつけていいのか分からなかったり

全ての箇所を描き込む前に疲れてしまって
箇所によってクオリティにばらつきが出てしまい

ここまでの描き込みというのは
なかなかしようとしてもできないものです。


それでは、こういった絵を描く人は
どうして気力を切らさず、全体的にバランス良く
描き込んでいけるのでしょうか?






それは、同時進行で描き込んでいるからです。







描き込みが上手な人は、
常に同時進行で絵を描き込んでいます。


この「同時進行」には二つの意味が込められています。



・各工程を進めながら同時進行でやり込む

・人物と背景を同時進行で仕上げる




各工程を進めながら同時進行でやり込む



気力が切れてしまうことの大きな要因は
「中途半端に完了させてしまうこと」です。



人は一度完了したことに再び手を加えることに
ものすごく苦痛を感じるのです。



後からの作業を防ぐためには、
ひと工程ごとにやり込むことが重要です。


あまり納得しないまま、後で直せばいいやと
中途半端に完了させてしまうと、
後からの作業は倍々に増えてしまいます。



しっかりやり込まずに進めてしまうとどうなるか
絵を描いていく工程ごとに想像してみると分かりやすいです。



1.イメージする


最初にイメージを膨らませる工程は
以降をブレずに作業していく上でとても重要です。


ここでしっかり頭の中にイメージを作っておかなければ
後からテーマや設定がブレやすくなります。


イメージをよく固めておかなかったばかりに
描いている途中でやっぱりこのシーンはしっくりこないなと
路線変更をするようなこともしばしば起こります。


そうなったらほとんどそれまでの工程は無駄になり
また1からやり直しです。

後からそんなこと絶対にしたくないですよね?

そうならないために、
ここでしっかりイメージを固めておきましょう。



2.ラフ、下書き

下書きをしっかり細部まで描いて

全体の中でどこに注目してほしいか、
人物のポーズはこれでいいかなど

頭の中のイメージをできるだけ具体的にしておかないと

後から「やっぱり手の位置はここにしておけばよかった」
などと手直しすることになりますので、ここでも注意が必要です。



3.ペン入れ

線画のうちにしっかり詳細を描いておかないと
彩色する段階になって、例えば

「そういえばここ、外枠しか描いてなかった」

と、一度作業を停止することになります。


すると、そこだけ局所的に
イメージする工程に戻り、デザインを考えて

一度彩色した所を少し消して、
線画をまた詳細に描いて再度彩色するような

面倒な工程を踏む流れになってしまいます。


このように、詳細なデザインを保留にしていた場所が多いほど
その後の作業中に何度も一時停止することになりますので
注意が必要です。


4.下地塗り

後から直せばいいや、と
はみ出しをあまり気にせずに下地塗りを完了させてしまうと

いざ影や光を彩色する段階で
影を塗りながら下地塗りのはみ出しや塗り残しを発見するたびに
下地塗りから直することになります。

一度完了させた下地塗りを修正することも
せっかくの集中力を下げてしまう要因です。


5.彩色

どこを最も明るくして、どこを最も暗くするか
明暗のパターンを乗算レイヤーなどで作って描き込んでおかないと
後々の手直しが大変になります。


この工程は、落ち影、影、照り返し、ハイライトなど
各パーツごとに塗った後の手直しの量がかなり多くなるため

一つのパーツあたり、影やハイライトを含めて
3つも4つも直すことになります。


一部の手直しでも、ものすごく気力を持って
いかれることになるので特に注意が必要です。






以上のように、イメージから彩色までに
これだけの「完了」があります。


前の段階に戻って行う手直しは

今まで完了した段階分だけ、その労力は
倍々になってのしかかってきます。


だから、多少時間がかかったとしても
一つ一つの工程を納得いくまで丁寧に行うことが
結局は全行程の作業時間を大幅に短縮してくれるのです。



人物と背景を同時進行で仕上げる



上記を行うことで、後半の手直しは少なくなりますが
一方で注意しなければならないことがあります。

それは、
あまり深追いしすぎないことです。


さっきと反対の事を言っているように感じるかもしれませんが
先ほどの「行程ごとにやり込む」がクオリティアップだとすれば
こちらはバランスの調整です。


1つの工程を完了させる際に使った労力が大きいほど
次の工程に移るために使う気力も大きくなります。


「あー終わったー!」と重い作業をしてひと休みをした時
その疲れた分だけ、しばらく動きたくなくなってしまいますよね?


一つのパーツを一度に深追いして
つい描き込みすぎてしまうと

他のパーツをそのクオリティに追いつかせるために
それだけ負担が大きくなります。

そうなると、一つのパーツごとの
1回の作業を完了させる労力が重くなり

次のパーツに移る時の腰の重さも
それだけ重くなってしまうのです。


一つだけ深く進めるよりも、全体のバランスを見ながら
小さな完了をまんべんなく積み重ねていくようにしましょう。


これが「同時進行」の二つ目の意味
「人物と背景を同時進行で仕上げる」
につながります。


一つ一つの工程を完了するのに
ただでさえかなりの労力を必要とします。


例えば人物を一気に描き込んで「完了」させてしまい
背景をほとんど単色塗りで後回しにしていた場合、

背景に移る時の腰の重さはおそらく
計り知れないものでしょう...


やっつけで終わらせたくなってしまうかもしれません。



だからこそ、バウムクーヘンを作る過程のように、
薄い層を徐々に徐々に、しっかりと重ねていくイメージで

背景も含めて少しづつ、段階を細かくとって
描き込んでいくようにすることも大切です。


同時進行で全体の情報料を上げていくということが
気力を切らさず描き込むための秘訣なのです。



このことは、ソース講座の下書き、ペン入れや塗りの工程など
随所で意識されています。


こういった工程を経て完成した絵は、
完成時には自分が納得の行く情報料になっているので
ほとんど手直しすることもありません。


また、一つ一つの工程で
まんべんなくクオリティアップに努めれば
全体のバランスを見る力もつきます。


技術も全体的に磨かれていくため、
この手法はスキルアップという意味でも
とても効率的です。



そして最後にもう一つ、落とし穴があります。

同じように均一に描き込む作業をしていると
つい「どこを強調したかったのか」を忘れてしまいます。


全体を「全く同じように」描き込んでしまうと

情報料が画面全体で均一になりすぎて
注目させたい部分が薄れ

メリハリが薄く、
あまり面白みのない絵になってしまいます。


どこを強調するかはその作品自体のテーマに関わってくる
大切なポイントなので、うっかり忘れていると大変なことになります。


このことで、作者の唯さんも
「仕上げ」の段階で、一部を線画から描き直されています。


全行程をしっかり同時進行で描き込み、
なおかつ強調する場所、それ以外の場所を意識して


「ここは目立たせる目的で描き込む」
「目立たせる場所を際立たせるために、ここは描き込みを減らす」


など、その箇所ごとに役割を整理しながら
塗り分けていくとよいでしょう。



以上のことを意識しながら絵を描くことで
あなたはモチベーションの減少を最小限に押さえて
絵を描き込んでいくことができます。





何か伝えたい思いがあって描き始めた絵のはずです。

どうせ描くなら、それを余すことなく
見る人に伝えたいですよね。


同時進行で描き込むことを意識することで
あなたは最初の思いをそのまま持続させて、

表現したかったことを納得いくまで、
思う存分、絵に焼き付けることができます。


そして、描いた人の熱意は、描き込んだ分だけ、
見る人の心に訴えかけてくれるはずです。







この講座の作者 唯さんは、
それぞれの工程をとても理論的に捉えており

他にも注目すべきポイントが沢山あります。


本来なら、この記事の中で
一つ一つの工程をやり込むためのポイントも
解説していくのが望ましいかなと思ったのですが


それらまで解説すると記事が長くなりすぎて
テーマがブレてしまう恐れがあったため

この記事では「全体のクオリティを同時進行で上げていく」
というポイントに絞って解説しました。


今後、何回かに分けてこの講座から分かる
描き込む際のポイントを一つ一つご紹介していく予定です。


ある程度慣れている方であれば、
軽く通して見ただけでも発見できることがたくさんある
素晴らしい講座ですので


お時間があれば、ソース講座を覗いて
自分なりに分析してみるのもよいでしょう。



2017/01/24 ラフ〜線画の工程について追加しました。
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2017/03/13 塗りの工程について追加しました。
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